Twitter上の誹謗中傷と法的措置

Twitter上で誹謗中傷されたら

Twitterは、気軽に自分と共通の趣味を持つ方や共通のコミュニティの方等と繋がることができる面で、現在では利用者も多い便利なサービスです。

そして、Twitterには、ある利用者が投稿した内容に対して返答をしたり、特定の利用者に向けた投稿をすることが出来る機能もあります。いい情報、悪い情報を問わず、それは他の利用者にとって有益な情報となることがあります。

しかし、事実が書き込まれればいいものの、事実と違った誹謗中傷や、ネガティブな情報を書き込まれてしまうことも少なくありません。誹謗中傷をされた方が精神的苦痛を負うことは今や社会問題となっております。ニュースでは芸能人の方がTwitter上で誹謗中傷をされたという内容を散見しますが、決して一般の方も無縁ではありません。Twitter上で、そういった誹謗中傷をされた場合は、そのような投稿をした者に対して、慰謝料請求をしたいと考えるのが通常かと思います。

もっとも、Twitter上では、対面したことが無い方と交流することが多いところ、匿名性が保たれている為、実際にはTwitter上で誹謗中傷をされたとしても、その投稿をした者がどこに居住する、何という氏名の者かは分からないことが一般的です。
発信者情報開示請求によって誹謗中傷をした者を特定し、損害賠償請求をしたい場合は、以下のとおり多くの法的手続きを踏む必要があります。



当事務所では、Twitterにおける事実無根の誹謗中傷やネガティブな投稿に関するご相談を扱っております。
初回法律相談は無料(30分以内)ですので、ご相談下さい。

Twitterに対する発信者情報開示仮処分申立て

まず始めにTwitterに対して、発信者情報開示請求仮処分を申立てます。誹謗中傷等の投稿をする際に利用したアカウントにログインした際のIPアドレスの開示を求めます

その際の相手方は、米国法人である「TWITTER、INC.」を相手方とする必要があります。そのため、米国Twitter社の登記簿謄本を取得する必要があります。これが、最初の関門となります。経験がなければ、これを取得することは難しいと思われます。その上で、裁判所に提出するための日本語訳を作成することも必要となります。

この場合の発信者情報開示請求仮処分申立ての管轄は、相手方が米国法人ではありますが、東京地裁が管轄になります。

そして、仮に、IPアドレスが開示されたとしても、IPアドレスから特定されたプロバイダにログが保存されていなければ、結局、投稿者を特定するには至りません。プロバイダによってログの保存期間は様々ですが、3ヶ月程度でログが消去されてしまうこともありますので、発信者情報開示請求は時間との勝負になります。そのため、Twitter上で誹謗中傷をされた場合は、すぐに発信者情報開示請求へ向けて着手する必要があります。誹謗中傷をされた場合は、その投稿をすぐにスクリーンショット等で保存し、投稿した際のURLや投稿日時も映るように保存しておくと、後に証拠として使える可能性があります。

Twitter社に申立書を直送する場合は、申立書や証拠の英訳文を付けなければなりません。また、裁判所からTwitter社に送付する呼び出し状についても英訳文を作成しなければなりません。Twitter社の代理人は、通常は日本の代理人が就きます。なお、裁判所が仮処分を発令する際には担保金を納めることが多いですが、Twitter社の場合は、担保金の納付を命じられませんでした。

この発信者情報開示請求仮処分では、債務者であるTwitterの主張についても検討した上で、裁判所は判断を下します。いわゆる双方審尋手続が採られます。事実無根の書き込みによって名誉が棄損されている事等が疎明出来れば、発信者情報開示命令を出してもらえる可能性があります。その結果、TwitterからログインIPが開示されます。Twitterから開示されたIPアドレスをもとに、発信者が接続したプロバイダを特定します。IPアドレスは、Twitterからメールで送られてきます。そのメールは数字等の羅列ですが、日本と米国で時差があるため、時差を考慮してIPアドレスを探す必要があります。1つの方法として、対象となる投稿の直前のログインに利用したIPアドレスからプロバイダを特定する方法があります。

プロバイダに対する発信者情報消去禁止の仮処分申立て

前述のとおり、プロバイダは一定期間が経過するとログを消去してしまうため、プロバイダに対し『ログ』の消去禁止の仮処分を申し立てます。プロバイダによっては、任意にログを保存してくれます。訴訟内でそのような合意ができた場合は、合意書等を取り交わして申立てを取り下げることもあります。

プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟

ログの保存が確認できたら、対象となるアカウントが利用していると思われるプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟をします。一般的に、訴訟提起後、プロバイダから契約者に対して発信者情報を開示して良いかどうか照会書を送り、意向を確認しますが、多くの場合は拒絶されます。そのため、プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟を進めて、裁判所に発信者情報の開示命令を出してもらう必要があります

発信者情報開示請求訴訟の訴状に発信者情報目録を付けて、開示を求める情報を記載しますが、その際は対象アカウントの氏名、住所、電話番号等の開示を求めます

本訴訟では、多くの場合、同定可能性(投稿内容が原告に向けられたものか)、権利侵害の有無(名誉棄損や名誉感情の侵害があるか等)、違法性阻却事由の有無等が争点になります。ネット上での表現は、崩した表現で行われることやペンネームでの投稿がなされることも多い為、果たしてその投稿が原告に向けたものなのか、権利侵害があるといえるのか等が問題になります。これらをクリアした場合に初めて発信者情報を開示せよという内容の判決が下され、それを受けてプロバイダから対象アカウントの契約者情報として、氏名・住所等が提供されます。

投稿者に対する損害賠償請求

ここまで来て、ようやく特定した契約者情報をもとに、投稿者に対し慰謝料請求をすることとなります。特段の事情が無い限り、契約者と投稿者は同一であると推認されます(大阪地判平成18・6・23)。
請求の方法としては、まずは内容証明郵便などを送り、任意に支払いを求め、それでも支払いをしない場合に民事訴訟を提起するという方法があります。

令和4年10月1日から改正法が施行されました

これまで、SNS等を通じて、誹謗中傷された方は、当該SNSを運営するコンテンツプロバイダに対して上記の仮処分を行い、その後に特定したアクセスプロバイダ(インターネット接続サービスを提供する事業者)に対して、訴訟提起をして、当該誹謗中傷をした者の住所や氏名を開示してもらうという流れでした。


これに関し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律について、令和4年10月1日から改正法が施行されました。

具体的には、これまで論点となっていた、いわゆる「ログイン型」のSNSでの投稿(Twitter等、ログイン時のIPアドレスしか残らないタイプのもの)に関し、「特定発信者情報」という概念を創設(法5条、特定発信者情報は、SNS等の(1)アカウント作成の際の通信、(2)アカウントへのログインの際の通信、(3)アカウントからのログアウト時の通信、(4)アカウント削除時の通信を構成するIPアドレスやタイムスタンプなどの情報が該当します。)しました。

また、旧法では、前述のような多くの手続きを別々に踏む必要があり、時間を要しましたが、改正法では新たに、発信者情報開示命令事件(非訟事件)を創設しました(法8条)。

そして、開示命令を本案とする提供命令(法15条)及び消去禁止命令(法16条)という制度も新たに創設されました。具体的には、まずはコンテンツプロバイダに対し、発信者情報開示命令の申立てをすると共に、提供命令の申立てをします。

この提供命令により、開示命令申立ての結果が出るより前に、コンテンツプロバイダから申立人に対しアクセスプロバイダの名称が開示されることで、迅速にアクセスプロバイダを特定し、同プロバイダに対する住所や氏名の開示命令申立てへ繋げることができるようになりました。なお、ログの保存期間には一般的に期限があることは前述のとおりですので、アクセスプロバイダに対する開示命令申立ての際に、申立人はログの消去禁止命令も申立てると良いでしょう。

加えて、提供命令を受けたコンテンツプロバイダは、保有するIPアドレスを、申立人には秘匿した状態でアクセスプロバイダに提供することで、アクセスプロバイダは保有する発信者の氏名や住所等を特定することができます。それにより、ログの保存、特定へとつながる形になります。
なお、以上の改正法に基づく手続きは、令和4年10月1日以前になされた投稿についても利用できます。

侮辱罪の厳罰化

Twitter等のSNS等を通じて行う誹謗中傷は、刑法上の名誉棄損罪や、侮辱罪に該当することもあります。その場合は、民事法上の損害賠償請求をすることに加え、加害者を刑事告訴することも考えられます。

この点、侮辱罪の法定刑は、30日未満の拘留、または1万円未満の科料と規定されていました。刑法犯の中では刑が重たくありませんでした。それが影響しているかは分かりませんが、昨今はインターネットやSNS上での誹謗中傷が後を絶えない状況となっております。そこで、令和4年7月7日施行の改正刑法で、侮辱罪について、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金を科すという内容が追加されました。

今後は、侮辱罪にあたる誹謗中傷をした場合、懲役刑もあり得ることとなりましたので、犯行の抑止効果が期待されます。また、加害者が懲役刑を避けるために、被害者と民事法上の損害賠償請求について和解する際の金額も従前よりも高額になる可能性もあるかもしれません。
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